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続<評>
投稿者:
審査委員長
投稿日:2004年 7月28日(水)17時08分49秒
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> 何度も引き出しを開け閉めするの。(by:ありす No.2008)
自由律俳句の巨匠、尾崎放哉の句に「なんにもない机の引き出しをあけて見る」という名作があるが、この句とても似てるのでは?両句とも「引き出し」をあける行為をしているという共通点がある。しかし、それだけではない「自由律俳句的な何か」が宿っている気がしてならない。ていうか、「尾崎放哉的何か」が ありす氏の句に宿っているのか。実は ありす氏(a.k.a.ひさよ/kaduki等)の句には昔から「女性版尾崎放哉」を想起させる要素があった。ネオ自由律の不朽の名作「1台の車に家族5人(by: ひさよ No.12.5)」や「甘<12345>辛(by: kaduki No.730)」、「37.4°(by: ありす No.1632)」なんかには、放哉の「墓のうらに廻る」、「咳をしても一人」などを彷佛させる「何か」がある。昔からそう思ってたけど、しかし「何か」は「何か」でしかなく、説得力のある言葉が見つからないでいたのだ。そんな時に、この、どこからどうみても「女性版放哉」な句が投句されたので、僕的には「ほら見ろ」という感じなのだ。ほら見ろ!
…ところで、放哉、そして ありす氏は なぜ両者とも「机の引き出し」について詠んだのだろうか。手持ち無沙汰な、何もすることのない時の心情を描いているのか。様々なオルタナティブがある人のことを「引き出しが多い人」と表すが、自分が俳句を作るにあたり、開ける「ネタの引き出し」について詠んでいるのだろうか。そういえばシュールレアリスムの巨匠サルバドール・ダリの作品にも度々「引き出し」が出てくる。この辺の心理学的なアレは心理学者にしかわからないのだろうが、兎にも角にも「引き出し」には何かありそうだ。…ん? ていうか、「なんにもない」のか。
> やっち まいな―――――――――――――――――――――――――!!! (by:Seika No.2258)
おっと、なんとも元気な句ではないか。しかしここまでサブカルチャーの味わいを全面に出したネオ自由律も珍しい。現代美術界では絵画に、アニメ/イラスト等サブカルチャー的要素を取り入れた作家が世界的な評価を得ている(村上隆、奈良美智など)。なら、サブカルチャー的要素を取り入れた俳句があっても良いだろう。…ところで この句、とても「アヴァンギャルド」ではないか。「アヴァンギャルド」とは本来フランス語で軍隊の、敵陣に一番近い前衛部隊を指す言葉である。逆に言えば、軍隊の前衛部隊のような精神で最新のアートを開拓しようとするモノを「アヴァンギャルド」と呼ぶのだ。軍隊の前衛部隊の気持ちになってみよう。どこに敵が潜んでいるかわからない。しかし自分らが前に進まなければ戦争の勝利は近付かない…から恐いけど進まなければならない。そんな極限状態で、それでも突入していく命知らずな精神はどんなだろう。それは、もしくは「破れかぶれ」や「やけくそ」の類いに近いものではないか。それは言い変えると「やっち まいな―――――――――――――――――――――――――!!!」的精神だ。そう、軍隊の前衛部隊も芸術の前衛部隊もこの「やっち まいな―――――――――――――――――――――――――!!!」的精神で敵陣に食い込んでいかないといけないのだ。この句はそんな「やっち まいな―――――――――――――――――――――――――!!!」的アヴァンギャルド精神で「やっち まいな―――――――――――――――――――――――――!!!」と詠んでいる、どこを切ってもアヴァンギャルドの血が流れる、100%アヴァンギャルドな句なのだ。
クオリティーの高さもそうだが、同時にネオ自由律全体の士気を高めるカリスマ性も評価したい。その意味では森美術館での展示直前に全体の士気を高めた ひさよ氏の「さぁ 森へ狩りに行きましょう(No.475)」をも想起させる。
勇敢な投句者達よ、さぁどんどん「やっち まいな―――――――――――――――――――――――――!!!」
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